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名前と実際のものがあっていないことがよくありますが、「黒板」もそのひとつでしょう。 「黒」と言っていますが、「黒板」は黒くはなく、「深緑」か、あまり鮮やかではない「エバーグリーン」のような色をしています。 なぜ、「緑色」なのに「黒板」と呼ぶのでしょう。 それは、黒板の歴史を振り返るとよくわかります。黒板は18世紀のフランスで使われ始め、19世紀になるとアメリカにも伝えられました。 ★明治初期、日本で学校制度が始まると同時に、アメリカから「ブラックボード」が持ち込まれ、その後、日本でも製造が始まりましたが、墨汁を塗って上から防腐効果や強度効果のある柿渋を塗った簡易的なものでした。 この頃の黒板は本当に黒く、大正時代には黒板メーカーも誕生し、量産体制が強化されていきます。 ★しかし、黒い黒板は目に悪く、長時間見ているのには向かず、そこで、昭和29年、日本工業規格(JIS規格)によって、黒板はダークグリーンの色に替わるようになったということです。 「ダークグリーン」はチョークの「白」とも相性がよく、遠くからも見えて、長時間見ていても目が疲れにくい色なのです。こうして「黒」から「緑」に変化した黒板は、昔の名前だけが残っているというわけです。 最近はカラーチョークが増えてきましたが、地が緑なのでチョークの色によっては見えにくくなる問題もあります。たとえば、青いチョークは近くだと見えにくく、遠くで見るほうが見えやすいといわれています。 |
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