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日本には色にまつわる言葉がたくさんありますが、「赤」を使った言葉で「紅一点」という言葉があります。男性ばかりの中に女性がひとり交ざっているときに使う言葉です。 この言葉の由来は中国の詩人である王安石が作った詩にあります。 「万緑叢中紅一点、人を動かす春色は須(すべか)らく多かるべからず」 緑の草原に一輪のザクロの花が咲くことだけで、春の風景は人を感動させてしまうということです。 ★この言葉が日本に入ってきた当初は、たくさんある中でひとつだけ異色の存在があることのたとえや、大勢の中で一人だけ秀でた才能があるときを指すものであり、特に女性に使われるものではありませんでした。 ところが花ということもあって、いつしか女性をたとえるようになり、男性の中でひとり女性がいる意味で使われるようになりました。 「紅一点」と言われると、女性を強調して男性側をやや粗雑に扱っている言葉にも聞こえますが、女性が花なら、男性も緑の草原なのです。 また、「紅」は本来、ベニバナで染めた鮮やかな赤色のことをさしていますが、「赤」の中でも良いイメージのものをいう場合、厳密な色をいうのではなく、「紅」と使うことがあります。「紅白」などがその例であり、「赤」と「白」の意味ですが、「赤白」とは言いません。 このように、「紅一点」はいつしか意味が変わってしまった言葉のひとつです。 |
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