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クラシックのコンサートといえば、ステージで演奏するオーケストラのメンバーは男女を問わず、ほとんどが黒い服を着ています。指揮者にいたっては燕尾服です。 このスタイルが確立したのは、それほど古くはありません。18世紀から19世紀にかけて、交響曲の名曲を残したドイツの作曲家ベートーヴェンや、18世紀を代表する音楽家モーツァルトの時代、つまり、「古典派」が活躍した時代には、演奏家は黒い服を着ていません。 では、いつから黒い服を着るようになったのでしょうか。それは19世紀からです。 18世紀末のフランス革命をきっかけに、貴族階級は没落し、市民階級が台頭し、市民が乗馬やスポーツを楽しむようになり、そのために生まれた乗馬用の服は、鞍の上で邪魔にならないように裾が割れていました。これが燕尾服のルーツともいわれています。 衣服の形だけではなく、「色」についても市民の意識に変化が生まれ、それまで「黒」といえば「死」や「黒魔術」など忌むべき色だったのが、「権力」あるいは「威厳」といったイメージとされました。 ★また、コンサートに訪れる観客のドレスを引き立てるためには、黒いほうがいいとされたともいわれています。 クラシックコンサートの「ピアノ協奏曲」などでは、ステージに上がった黒ずくめの演奏家と燕尾服の指揮者に対して、女性ピアニストが華やかな色のドレスを身にまとうことがあります。 女性ピアニストを引き立てるためにも「黒ずくめ」がよさそうです。一説には、「ピアノが黒いのも同様の理由」だといわれています。 |
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