昔、天皇や上皇にお仕えする女官たちが使ったことばを「女房ことば」といいます。
一種独特の表現方法で、「いいかえことば」「もじことば」など、おもしろいものがたくさんあります。
いくつかの実例を挙げてみます。
|
いいかえことば
葱(ねぎ)⇒シロネ
小豆(あずき)⇒アカアカ
鱈(たら)⇒ユキ
かます⇒クチボソ
豆腐⇒シロモノ
素麺(そうめん)⇒ホソモノ
|
もじことば
イカ⇒イモジ
エビ⇒エモジ
すし⇒スモジ
ニラ⇒フタモジ
|
重ねことば
いり豆⇒イリイリ
浅漬け⇒アサアサ
あえ物⇒ミソミソ
香の物⇒コウコウ
するめ⇒スルスル
|
優美ことば
水⇒井ノナカ
ふな⇒ヤマブキ
便所⇒ハバカリ
歩くこと⇒オヒロヒ
寝ること⇒オシズマル
|
省略ことば
こんにゃく⇒ニャク
牛蒡(ごぼう)⇒ゴン
刺身⇒オサシ
強飯(こわめし)⇒オコワ
|
次のようなことばは現在も使われています。
おなら⇒『今昔物語』のなかに「あやまりて、いと高く鳴らしけり」とあるように、「おなら」は「鳴らす」の「なら」を語源とする女房ことばです。
おかず⇒漢字で「御数」と書きます。つまり、数々のものを取り合わせて食膳に出すことから生まれたことばです。 |
|