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日本の刑事裁判の有罪率は、90%以上といわれています。つまり、警察によって逮捕され、送検され、裁判所が勾留を決定し、検察が起訴を決定すると、きわめて高い確率で「有罪」とさせるということです。 それだけに、警察や検察、もちろん裁判所も、真実を追究すべく職務に当たり。法廷では弁護人も尽力する。それでも、いわゆる「冤罪」は起きています。 冤罪、つまり無実であるのに犯罪者として扱われることを「濡れ衣を着せられた」と言いますが、その語源は未解決事件のように謎のベールに包まれています。 ★たとえば、互いに「自分のほうが正しい」と主張する二人に、水に濡れた衣服を着せ、早く乾いたほうが正しいと認める神事のような裁判法があり、文字通り「濡れ衣を着ていたほうが有罪」となったという説があります。 また、平安時代には「父親の後妻から、美しさを妬まれた先妻の娘が、猟師の衣を盗んだと身に覚えのない罪を着せられ、潔白を訴えた娘に対して、後妻は容赦なく責め立てます。ですが、じつは後妻が娘の眠っている間に猟師の海水に濡れた衣を寝床に忍び込ませていたのです。しかし、父親は、娘が猟師の衣を盗んだと誤解し、その罪を償わせるために、娘を亡きものとした」という秘話があり、これもまた、「濡れ衣を着せられる」の由来になっています。 さらに、神話を由来とする説もあります。 日本の神話は、神々が潔白を証明するために「誓(うけ)い」と呼ばれる一種の占いを行う場面が数多く描かれています。その中のひとつが「ある神が、みずからの潔白を証明するために、濡れた衣が乾けば無罪、濡れた衣が乾かなければ有罪になるとの占いをした」と伝えられています。 また、艶っぽい話が「濡れ衣」の由来とする説もあります。 「古今和歌集」に「かきくらし ことは降るなむ 春雨に 濡衣着せて 君をとどめむ」という和歌が載っています。 現代語訳すれば、「空が」暗くなっている できれば降ってほしい その春雨に 濡衣を着せて 帰れないあなたを 私のもとに留めましょう」といったところです。詠み知らずのようですが、女性の切ない心が現れています。これなら、男としては、濡れ衣を着せられても満足でしょう。 |
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