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「薬籠中(やくろうちゅう)の物」とは、いつでも自分の思う通りに利用できる人物、あるいは自在に使いこなせるくらいに身に付いた知識や技術のことであります。 「薬籠」とは、薬箱のことで、つまり薬箱から薬品を取り出せるように、いつでも、自分の思うままに利用できるという意味です。 唐の時代、仁傑(じんけつ)の門弟である元行冲(げんこうちゅう)が先生に向かって「すべて苦い薬はよくきくものです。私もどうか先生の薬物の一つに加えてお使いになって下さい」と言ったところ、仁傑は破顔一笑して「君はすでに私の薬籠中のもので、欠かせない人だ」と言ったという故事に基づきます。 古くは「必要な人」という意味で使われていましたが、今では多く自分のものとした知識や技術に対して使われるようです。 |
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