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1 ご自愛ください⇒お体を大切に 【例文】・・まだまだ寒い日が続きますが、どうぞご自愛ください。 「自愛」とは病気などをしないように健康状態に気をつけて、自分の体を大切にするという意味です。 手紙の終わり際などに、相手への心遣いとして使います。「お体を大切に」というよりも、より丁寧な印象になるでしょう。 よくある間違いで「お体をご自愛ください」と使ってしまうことがあります。「自愛」は自分の体を大切にするという意味ですから、この子度は事態に体の意味が含まれます。同じ意味の重複になるので気をつけましょう。 ★ポイント 同じ読みの「慈愛」は親が子供を可愛がるような深い愛情のことです。 2 お汲み取りください⇒わかってください 【例文】・・どうか事情をお汲み取りください。 自分の考えや行動をわかってほしい場所に用います。相手に詳しい事情を伝えにくく、口にしにくいことを察してもらいたい場合に便利です。 たとえば相手からの提案や依頼を断る場合、はっきりと断ってしまっては角が立ちます。そのため、相手にやんわりと無理な状況を察してもらうために「どうか事情をお汲み取りいただき、ご了承ください」などと使います。 「汲み取る」は相手の気持ちや考え、事情を推し量ることをいい、「酌み取る」とも書きます。 ★ポイント 「ご斟酌ください」とも言い換えられます。 3 改めて敬服(けいふく)いたしました⇒見直しました 【例文】・・先生の素晴らしいお考えに、改めて敬服いたしました。 目上の人の実力や考えの素晴らしさを再認識したとき、「見直しました」と言うと上から目線になってしまいますし、「見直す」はそれまでの認識を改めるという意味です。今までは評価していなかったということになってしまい、大変失礼です。 「改めて敬服いたしました」という表現であれば、失礼なく相手を立てることができます。「敬服」とは相手に感心し、敬服することを言います。 同様の言葉に「感服」がありますが、こちらは目上の人に使うのは失礼になるという考え方があるようです。目上に使う場合には、「敬服」が無難でしょう。 ★ポイント 「敬服」の類語、「脱帽」は帽子を脱いで敬意を表すことから、比喩的に相手に降参の意を示すという意味があります。 4 お相伴(しょうばん)にあずかります⇒おつき合いします 【例文】・・会食ですか? では、お相伴にあずかります。 「相伴」は誰かと連れ立って行くことを意味する言葉です。また、主賓となる客のお供として一緒に接待されることを意味しています。 接待を受けるという意味では、「ご馳走になる」という言い方もありますが、ニュアンスが異なります。「お相伴にあずかる」には、自分以外の主役の連れとしておこぼれにあずかるという謙遜の意味があるのです。 ちなみに「馳走」とは食事を出してもてなすことや、そのための料理のことです。客のために走り回って食材を集めることから「馳せる」「走る」という字を使っています。 ★ポイント 「ご一緒する」「同席させていただくにも言い換えられます。 5 拝借(はいしゃく)する⇒借りる 【例文】・・お知恵を拝借しに伺いました。 借りることの謙譲表現が「拝借する」。実際に借りるだけでなく、意見を聞きたいときや会う時間を取ってもらうときなど、さまざまなケースで活用できます。また、一歩締めや三本締めなどの「手締め」を行う前には、音頭を取る人が「お手を拝借」と声をかけますね。 なお、「拝借」は謙譲語のため、目上の人が借りることを「社長が拝借される」と言うのは間違いです。この場合は「お借りになる」「借りられる」が良いでしょう。 ★ポイント 拝借の類語「恩借」は、人の情けや恩に頼って金品を借りるという意味です。 6 召し上がってください・お召し上がりください⇒食べてください 「召し上がる」は食べるの尊敬語で、食事をすすめる際に「召し上がってください」などと使います。そして「お召し上がりください」は、召し上がるに尊敬語の「お〜ください」を足した言い回しです。 敬語を二重に使うのは「二重敬語」とされ、一般的には不適切とされています。しかし「お召し上がりください」は広く定着しているため、間違いとは言い切れなくなっています。 7 そろそろお暇(いとま)いたします⇒もう帰ります 飲み会などの席から一足先に帰るというとき、「もう帰ります」と言うだけでは残った人に対して素っ気のない印象を与えてしまいかねません。 「お暇」とは帰ることや人前から去ることを意味する言葉です。「名残惜しいですが終電の時間も近いので、そろそろお暇したします」というように使います。 なお「お暇」には職を離れるという意味もあります。「お暇いただく」という非用言は職を辞するという意味で使うケースもあります。 8 お加減(かげん)はいかがですか⇒体調はどうですか 相手を敬いながら、健康状態をたずねる言葉です。病気であることがわかっている相手に、体調を聞く際に使います。 もしも相手が病気ではない場合、もしくは相手の状況がわからない場合は「お変わりはございませんか?」「ご様子はいかがでしょう?」などを使うといいでしょう。 9 不勉強で申し訳ございません。⇒わかりません 自分の知らないことについて聞かれたとき、それを素直に「わかりません」と言うよりも「不勉強で申し訳ございません」答えることで、相手に反省を伝えられます。「不勉強」は学問などの努力を怠ることをいいます。 10 お掛けください⇒お座りください 来客に座ることを促すとき、「お座りください」よりも「お掛けください」のほうが丁寧な印象を与えられます。また、立ち上がることを促す場合には「ご起立ください」を使います。 11 お近づきになる⇒知り合う それまで接点のなかった人と知り合ったり、親しい間柄になったりすることをいいます。「高名な方とお近づきになる機会を得た」というように使います。また、そうして親しくなった人のことを「お近づき」といいます。知り合った相手のことを「知り合い」と呼びますが、それと同様です。 12 ご進物(しんもつ)⇒贈り物 「進物」とは祝い事や季節のあいさつなどで贈る品物のことです。贈答品を表す類語にはほかにも「付け届け」がありますが、こちらは謝礼や義理のために贈るもののことです。 13 末席(まっせき)を汚す⇒参加する 会合に加わったり仲間に入ったりすることを、へりくだっていう言葉です。自分は集まりの中では下座に座るべきで、さらにその席を汚してしまうかもしれないと謙遜する表現です。 14 参集(さんしゅう)する⇒集まる 多くの人が集まることをいいます。役所などで使われることが多い言葉で、「非常時にはすべての職員が参集し、事態にあたる」というように使います。「参集」自体は敬語表現ではないため、たとえば説明会などの参加を募る文章では「ご参集ください」というように使うといいでしょう。 15 ご寛恕(かんじょ)ください⇒許してください 「寛恕」とは咎めず許すこと、心が広いことを表す表現です。相手からの許しを請う意味で「ご寛恕くださいますようお願い申し上げます」などと使います。 16 度(ど)しがたい⇒どうしようもない 救いがたいほどどうしようもない、道理を言い聞かせてもわからせようがないという意味です。「何度注意しても懲りない、度しがたい人だ」というように使います。 「度す」は「済度」という仏教の言葉が元となっていて、仏が苦しんでいる人々を救うという意味があります。 |
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