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1 平(ひら)にご容赦(ようしゃ)ください ★意味・・許しを願う表現。どうかお許しください。 【例文】・・ご不便をおかけしますことを、平にご容赦ください。 「平に」とはへりくだって相手に頼み込む際に使う言葉で、「どうか」「なんとか」と同様の意味です。平伏する様子を表しています。また、「容赦」は許すことを意味しています。どうにか許してほしいという懇願の気持ちを伝える際に使える言葉です。 また、「あらかじめご容赦ください」とすることで、商品の品切れなどどうしても起こり得る問題に対して、事前に謝罪をするフレーズになります。ビジネスシーンで広く使われる表現です。 ★ポイント 容赦は受け入れる意味の「容」と、過ちを許す意味の「赦」が組み合わさった言葉です。 2 快哉(かいさい)を叫ぶ ★意味・・愉快さに思わず声が出ること。 【例文】・・資格試験から解放されて快哉を叫びたい気分だ。 「快哉」とは愉快だと思うこと、胸がすっとするほど気持ちがよいことです。「快」は快いことをあらわしており、「哉」は「かな」と呼んで「素晴らしき哉、人生」と使うように「・・・だなあ」「・・・ものだなあ」と感動の意を表します。「快(かい)なる哉」が「快哉」です。 思わず叫んでしまうほど、嬉しいことがあったときに使えます。一例として、スポーツを観戦している人が、決定的なシーンに出会って歓声上げている場面を指して「快哉を叫ぶ」と表現することができます。 ★ポイント 「快哉」の類語に「痛快」があります。 3 勘弁ならない ★意味・・・・許せない。 【例文】・・イタズラにしては悪質で、今度ばかりは勘弁ならない。 どうしてみ許せないことがあるときに、怒りを表す言葉が「勘弁ならない」です。「聞き捨てならない」「看過できない」「容認できない」なども似たような意味です。 許しを請うときは「勘弁してください」などと言いますが、そもそも「勘弁」とはどういう意味なのかというと、相手の罪や過ちを許すことです。元々は物事をよく考え、見定めるという意味の言葉でしたが、「よく考えた結果、相手を許す」という意味で使われるようになったようです。 ★ポイント 「勘」は考えること、「弁」は物事を理解することを意味します。 4 忸怩(じくじ)たる思い ★意味・・自分の行いを深く恥じること。 【例文】・・同じ過ちを繰り返してしまい、忸怩たる思いです。 自分の振る舞いや言動を省みたとき、恥ずかしい気持ちになることやその感情を「忸怩たる思い」と表現します。ただ恥ずかしいというよりも、大きな失敗などをしてしまった場面で使うケースが多いでしょう。 「忸」には恥ずかしいという気持ち、「怩」にも恥ずかしさや引け目を感じるという意味があり、それを重ねることで恥ずかしさを強調しているのです。 ありがちな誤用ですが、腹立たしいという意味や、うじうじと思い悩むという意味ではありません。 ★ポイント 改まった場面で「穴があったら入りたい」という気持ちを表現できる言葉です。 5 人心地(ひとごこち) ★意味・・緊張が解けた気持ち。 【例文】・・ 家に帰ってようやく人心地ついた。 ほっとした、くつろいだ気持ちのことです。また、人間として当たり前の感覚のことをいいます。「人心地がつく」といえば、ストレスからすっかり解放されてリラックスすることを表します。「人心地もない」は緊張し、不安げな状態をいいます。 なお「心地」とは気持ちや気分のことを表す言葉です。気分が良ければ「心地よい」といいますし、「生きた心地がしない」といえば恐ろしさのあまり生きていることを実感できない気分を表します。 ★ポイント 「生きた心地」とはすなわち「人心地」のことです。 6 面映(おもは)ゆい ★意味・・照れくさい。 【例文】・・大勢の前で褒められて面映ゆかった。 嬉しくて照れくさい、きまりが悪いという意味の言葉です。人前で褒められて照れを感じた場合などに使います。 顔を意味する「面」と光り輝いて眩しいことを意味する「映ゆし」が組み合わさった言葉で、「まるで眩しさで顔を向けられないかのように、相手と顔を合わせられない」というような気持ちを表しています。 照れくささを表す類語には、くすぐったいという意味だけでなく、きまりが悪いという意味でも使う「こそばゆい」という表現もあります。 ★ポイント 特に、相手と面と向かって何かをする、されるのが恥ずかしい場合に使います。 7 砂を噛(か)むよう 面白みがなったくなかったり、味わいが感じられないことを、味のない砂を噛むことにたとえた表現です。 「やりがいのない仕事に追われて、砂を噛むような毎日だ」「とても食事をするような気分ではなくて、砂を噛むような思いで食べた」などと使います。 なお、砂を使った慣用句には「砂にする」というものがあり、むだにする、役に立たなくさせるという意味です。 8 心痛(しんつう) 心を痛めることや、ひどく心配することを表す言葉です。たとえば、大切な人を失って心を痛めている相手に対して「ご心痛、お察しいたします」などと使います。 悲しみに心が傷ついたときに使う類語に「傷心」や「哀傷」が、心配するという意味の類語に「心労」などがあります。なお、前後が入れ替わった「痛心」も同様に心を痛めるという意味の言葉です。 9 溜飲(りゅういん)を下げる 不平・不満を解消して気持ちがすっとすることです。「勝負に勝って溜飲を下げた」というように使います。「溜飲」は胃の消化不良による胸焼けのことです。 怒りや恨みを解消するという意味の「鬱憤を晴らす」と混同して「溜飲を晴らす」というのは誤りです。 10 疎(うと)ましい 遠ざけたくなるほど嫌で好感を持てないことです。「目にするのも疎ましい相手」などといいます。 類語である「忌まわしい」は不吉さや不愉快さがあって嫌なことを意味します。 11 難色(なんしょく)を示す 賛成や承知ができない様子を示すことです。「提示された条件の受け入れに難色を示した」というように使います。 「難色」は不承知または非難するような表情という意味です。 12 朗(ほが)らか 「朗らかな性格」とは、晴れ晴れとして明るい性格のことです。「朗らか」は空が曇りなく晴れ渡っている様子を表す言葉です。 13 畏敬(いけい)の念 神や自然のような崇高なものや偉大な人に対して、恐れると同時に敬う気持ちをいいます。似た言葉に、恐れおののくことをいう「畏怖の念」があります。 14 有頂天(うちょうてん) 何かに成功した喜びで、舞い上がっている気分のことです。元々は仏教の言葉で、「世界の最も上」のこと。そこから転じて、最上の満足感を味わっている様子をたとえる意味にもなったのです。 喜びの頂点にいるイメージからか有頂「点」と書いてしまう人もいるようですが、有頂「天」が正解です。 15 遺憾(いかん)に思う 政治家や企業の重役が開いた会見で耳にしがちな言い回しです。「遺憾」とは物事が思い通りにならず残念であるということです。あまり積極的ではない非難として使われます。また、謝罪の意味ではありません。 16 慙愧(ざんき)に堪えない 自分の行いの残念さ、恥ずかしさを反省することです。謝罪をする際に使われ、不祥事を起こした政治家の会見などでしばしば耳にします。 「慙愧」は仏教用語で「慙」は自分を恥じること、「愧」はその気持ちを外手に示すことを表しています。 17 塗炭(とたん)の苦しみ 泥にまみれ、火に焼かれるような苦しみという意味です。「人々は塗炭の苦しみを味わった」というように使います。「塗」は泥、「炭」は火のことを表しています。同様の言葉に「水火の苦しみ」というものがあります。 18 嘲(あざけ)る 馬鹿にしたり、悪く言って笑ったりすることをいいます。「嘲笑(ちょうしょう)」や「嘲(あざ)笑う」という言葉も同様の意味です。 「他人の失敗を嘲る」などと言いますが、自分に対しても「自らの無学を嘲る」というように使うことができます。 19 訝(いぶか)る 疑わしく思う、様子を怪しく思うという意味です。正体がわからないものや、人の普段と違う態度などを怪しいと思うときに、「夜の行動を訝る」というように使います。 20 気もそぞろ そわそわして落ち着かない様子を表しています。「待ちに待った旅行の日が近くて気もそぞろだ」というような使い方をします。そぞろ、は漢字では「漫ろ」と書きます。 |
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