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昔から、塩はよく「お清め」に用いられてきました。 葬儀に出ると、必ず清めの塩が配られるし、神仏へのお祓いや祈願にも塩が用いられます。相撲で力士が土俵に塩をまくのも穢れをはらう清めの儀式だし、いやな客が帰ったあとに塩をまくのも清めの意味があります。 この清めに塩を使う風習は、いったい何が原因で始まったのでしょうか。 日本では、イザナギとイザナミの二柱の神が、矛で下界の海をかき回し、矛の先からしたたり落ちた塩が積もって大八島(日本列島)になったという『古事記』『日本書紀』の神話をはじめ、海や塩に関連のある神話や伝説が多い。 それほど海と結びつきが強く、海が重視されてきたのです。 ★そのためか、海辺では、身辺に穢れがあったとき、海水をかぶって垢離(こり)を行い、身を清める習俗があった。 『古事記』にも、黄泉の国から戻ったイザナギが、海水でみそぎをして穢れを払ったという故事が記されています。また、海水を沸かした「塩湯」が病気治療や無病息災の効果があるという民間信仰も、この習俗に関係が深いです。 しかし、海辺に住んでいる人はいつでもできる「垢離」も、海辺から遠い土地に住む人は、何かあるたびに海に行くのは難しい。 そこで、海水を竹筒などに入れて保存しておき、海に行けないときにはそれを使っていましたが、海水を長期間保存しておくと、水が蒸発して塩だけが残ります。そこで、いつしか、海水ではなく、塩をお清めに用いるようになったということです。 ★いずれにせよ、海との結びつきが強い上に、海の象徴としての塩は、殺菌力もあって神聖視されていたことは確かでしょう。 |
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