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鍋に白身魚の切り身、野菜、豆腐などの具材を入れ、煮えたらポン酢や醤油で食べる「ちり鍋」は日本の風物詩です。水ではなく、出汁で煮ることもありますが、あっさりとした味で、食材本来の味を楽しむという日本人の繊細な舌に合った料理といえそうです。 ちなみに「ちり鍋」は、俳句で冬の季語のひとつになっています。 材料の白身魚の代表は「ふぐ」や「たら」で、それぞれ「ふぐちり」「たらちり」と呼ばれています。 ★「ちり」の語源には諸説ありますが、有力なのは、「外国人が刺身を茹でたことから生まれた言葉」という説があります。 時は幕末から明治初期、外国人が日本を訪れるようになった次代の話です。 来日した外国人のお客様をもてなそうとしたある料理人が、新鮮な刺身をきれいに盛り付けて出したところが、火の通っていない魚を食べる習慣のなかった外国人は、テーブルにあった鍋に刺身を入れてしまったということです。 お湯の中で、ちりちりと身を縮める刺身ですが、いざ食べてみると「これはいける」となり、「ちり鍋」が誕生したということです。そのときの刺身の様子から「ちり鍋」と呼ばれるようになったという説です。 それ以前にも、四国地方や中国地方には「魚と野菜を煮て食べる料理」は合ったようですが、「ちり」とは呼ばれていないようです。 ところで、人によっては、あるいはお店のメニューによっては、「ふぐちり」を「てっちり」と呼ぶことがあります。この「てつ」とは「てっぽう(鉄砲)」のことで、ふぐも鉄砲も「当たると死ぬ」という洒落です。 |
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