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やさしい視線、熱い視線、心配そうな視線、恋する視線など、私たちは一言もしゃべらずに視線だけで自分の気持ちを伝えることができますが、そんな視線が送れるのは、実は、人間だけが持つ「白目」のおかげです。 ★意外な感じがしますが、霊長類で白目(強膜)を持つのは、人間だけなのです。チンパンジーやゴリラはほぼ黒目だけで、強膜はありますが、茶色いので判然としません。 なぜ、人間には白目があり、ほかの動物たちには、ほぼないのでしょうか。 そのなぞを解くには、動物の進化の過程までさかのぼる必要があります。 弱肉強食の世界で、野生動物が敵と対峙したとき、どちらの方向に逃げるのかが相手にバレてしまうと、それだけで生命の危機でした。 ★目の中に白目があると、黒目が強調されることになり、視線の動きが敵に見破られてしまって都合が悪いのです。 ですが、黒目だけなら、視線の動きがバレる心配がありません。そのため、動物たちは、極力白目が目立たないように目を進化させていったということです。 人類の祖先も、当初は黒い目をしていたはずですが、人類は知能を発達させ、武器も手にするようになったため、あまり視線を隠す必要がなくなりました。 その一方で、集団で効率よく狩りをするために、視線で合図を送り合うようになりました。狩りの最中に声を出したら、獲物に気づかれてしまうからです。 そこで、視線だけでコミュニケーションがとれるように、白目と黒目がはっきり区別された目に進化したというわけです。 |
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